野球肘 手術
肘関節モザイクプラスティーとは?
肘関節モザイクプラスティーは、肘の離断性骨軟骨炎に対して行われる手術です。離断性骨軟骨炎の多くは10~17歳の子供に起こりやすく、肘に負担がかかりやすい野球や体操選手などに多く発生すると言われています。進行すると痛みが強くなり、肘が動かしづらくなります。
下の図は,正常な肘(図1)と離断性骨軟骨炎を呈している肘(図2)です。
肘に繰り返し負担がかかると骨軟骨がはがれていきます(図2の○部)。
手術は肘または膝から採取した骨軟骨を肘のはがれた部分に移植し修復します。
図1:正常な肘 |
図2:離断性骨軟骨炎を呈した肘 |
手術前からスポーツ復帰までの流れは?
入院中のリハビリの流れは?
手術当日
リハビリはありません。
術後翌日(退院日)
午前中に退院するためリハビリは午前のみです。
手術直後は、腕の筋肉が張ってくるためアイシングやマッサージなどを行い肘の機能の改善を図ります。
また肘の機能の改善のみならず肘への負担を減らすために肩や股関節など他の部位の柔軟性や筋力の向上、動作の修正にも努める必要があります。そのため、手術直後から肘関節を含めた全身のリハビリを進めます。
さらに手術により膝の骨軟骨を採取した場合は、膝への負担を減らすために松葉杖を使用します。
そのため、松葉杖で歩行や階段の練習を行います。
個人差はありますが退院後1~2週間で膝の痛みが軽減し、松葉杖を使わず歩けるようになります。
術後経過は?
手術後は痛みのない範囲で肘関節を動かしていきます。
また投球復帰に向けて肩関節や股関節のコンディショニングの向上を図ります。
術後2ヶ月からシャドーピッチングを開始し、術後3ヶ月で実球開始となりますが、投球後の炎症など状態が悪化しないように注意を払います。
術後5~6ヶ月で完全復帰が可能となります。
退院後のリハビリテーションについては、あんしんクリニックのホームページを参照してください。
手術後1~3週目の様子です。 痛みのない範囲で肘のリハビリを開始していきます。 肩など他の部位への筋力強化も一緒に行います。 |
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手術後2~3ヶ月目の様子です。 投球復帰に向けてフォームの修正を図っています。 |
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手術後5ヶ月目の様子です。 完全復帰に向けてフォームの最終チェックをしています。 |
Q&A
- Q:手術前にしてはいけない事は何ですか?
- A:炎症症状の悪化の可能性がありますのでスポーツ動作は避けてください。
- Q:ジョギングなどはいつからですか?
- A:術後1ヶ月からランニングなどが開始することが出来ます。
- Q:投球開始時期はいつからですか?
- A:術後2ヶ月でシャドーピッチングを始め、術後3ヶ月で徐々にボールを使用しての投球を開始、術後5~6ヵ月での完全復帰を目指します。
患者さんからの声
10代 男性(手術時13歳) 種目:野球(ポジション:投手)
- 手術を受ける前の心境
- 手術後の率直な感想
- これから手術をされる方,手術を受けようか迷われている方へのアドバイス
緊張もしてすごく不安でした。
ボールを投げることができるまでの期間が3ヶ月後と聞いたので「そんなに投げれないのか」と思いました。
それに、膝から肘へ移植すると聞いたので「足が遅くならないのかな」と心配になりました。
でも野球復帰するために頑張ろうと思いました。
麻酔が切れてくると肘と膝がすごく痛かったです。
トイレに行く時などは杖を使って歩きました。
歩くと足が痛くなりました。
また最初の期間は膝が全然曲がりませんでした。
手術は行うのはみんな嫌だと思います。
手術前に手術の内容や手術後について分かりやすく説明してくれます。
野球で肘を壊して手術することになりました。
手術後は毎週三宮にあるクリニックに行ってリハビリをする事で徐々に肘もよくなり今は手術前よりも良くなっているなと思います。
手術後は焦らずにしっかりとリハビリをすることが大切です。
僕は手術することが同じ怪我を繰り返さない良い方法だと思いました。